名古屋市千種区不老町にある、名古屋大学アイソトープ総合センターでは、TCS-172(シンチレーション式サーベイメーター)を使用して同センターの正面玄関前(地上1m)で空間放射線量率を測定しており、その測定結果をHP上で公開しています。※放射線を取り扱う施設では、事務所境界での空間放射線量率を毎月測定することが、法律により定められており、同センターでは、2011年3月15以降は、8月29日現在まで、毎日測定を行っているとのことです。
同センターによると、2011年3月15日以降の測定では、数値は0.08μSv/h〜0.09μSv/hを示すことが多い、という印象だそうですが(雨が降ったときは、0.1μSv/hを超えることもあるそうです)、福島原発事故以前に毎月測定していた数値も、2011年1月28日は0.09μSv/h、翌月の2月28日は0.08μSv/hだったそうで、「福島原発事故の前と後で、数値に大きな変化はない」ということでした。因みに、過去3年間の数値は、0.065μSv/h〜0.115μSv/hだったそうです。
僕は、このブログで繰り返し述べていますが、福島原発事故の影響を、土壌の放射能測定の数値などを抜きに、空間放射線量率の数値のみから考察するのであれば、福島原発事故以前と事故以降で、「同じ場所」を「同じ条件」で「同じ測定機器」により測定された数値同士を比較するべきだと思っています。
福島原発事故後には、(僕も含めて)多くの「個人」が様々な小型放射線測定器を使って、各地の空間放射線量率を測定していますが、その数値だけを見て、「ここは、空間放射線量率が高い」とか「ここは、放射能で汚染されている」と決めつけることは短絡的であり、決して賢明なことではないと思います。※たとえ、比較するべき福島原発事故以前の数値がなくても、たとえ、どういう測定器を使用したとしても、例えば1μSv/hとか、そういった明らかに高い数値が測定された場合は、話は別かもしれませんが..
この名古屋大学アイソトープ総合センターの数値は、福島原発事故以前と事故以降で、「名古屋大学アイソトープ総合センターの正面玄関(同じ場所)」を「地面から1m(同じ条件)」で「TCS-172(同じ測定機器)」により測定されたものですので、この数値同士を比較することは、福島原発事故の影響を考察する上で、とても有効な手段の一つであると考えられると思います。
そして、この数値同士を比較すると、「福島原発事故の前と後で、数値に大きな変化はない」ということがわかりますから、名古屋市千種区にある同センターに関しては、「福島原発事故の影響は、ほとんどない」と考えるのが妥当でしょう。そして、この付近の地域に関しても、ある程度、このデータを参考にできるのではないでしょうか。
一口に名古屋市と言ってもかなり広い地域なのですから、現在、モニタリングポストなどで空間放射線量率の測定と発表を行う愛知県環境調査センターがある名古屋市北区、それ以外の別の地域にも、このように、福島原発以前と事故以降の空間放射線量率のデータを公表してくれる機関があることは、とても有り難いことです。これで、名古屋市の千種区に関しては、福島原発事故の影響について、一定の推測が成り立つと思います。
名古屋大学アイソトープ総合センターさん、ありがとうございます!
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