AERA'11.8.15に、線量計「実力テスト」という特集が掲載されていました。
この特集のガイド役となった東大総合文化研究所の小豆川助教によると、「線量計にはそれぞれ用途があり、車で言うと、トラック、乗用車、4WDほど違う。<中略>線量計も車と同様に目的ごとに使い分けるもの」なのだそうです。
因みに、AERAによると、DoseRAE2などのシンチレーション式は空間放射線量率などのγ線測定に向いており、GM計数管式(いわゆるガイガーカウンター)は身体や土壌などの表面に付着した放射性物質の測定に適しているとのこと。つまり、「モニタリングポスト」など、厳密に空間放射線量率(γ線)を測定する場合は、シンチレーション式が良く、原発作業員などの「スクリーニング」などでβ線量を測定する場合は、GM計数管式が良いのだそうです。
さて、AERAが行った線量計「実力テスト」は、まず文科省が全国各地を測定するのに使用しているサーベイメーターと同種のTCS-161(シンチレーション式)が最も正確であるという設定のもとに、複数の場所を「校正」と「誤差チェック」済みの複数の線量計(DoseRAE2を含む)で測定し、その結果を比較しています。
低線量の場所については、TCS-161が0.06μSv/h(これを正確な数値と設定)を示した場所では、シンチレーション式のDoseRAE2は0.07μSv/h、はかるくんDX-300は0.06μSv/hで、GM計数管式は0.07μSv/h〜0.11μSv/hという数値を示したようです。
高線量の場所については、TCS-161が6.1μSv/h(これを正確な数値と設定)を示した場所では、DoseRAE2は9.63μSv/h、はかるくんDX-300は5.23μSv/hで、GM計数管式は3.12μSv/h〜10.45μSv/hという数値を示したようです。
DoseRAE2は、低線量と高線量をそれぞれ2つの異なるセンサーにより測定しますが、この「実力テスト」の結果によると、DoseRAE2の場合、低線量の測定では比較的正しい数値が出るようで、名古屋市のように福島原発事故の影響が比較的軽微で低線量な地域を測定するには「まずまず」と言ったところではないでしょうか(もっとも、低線量の複数の場所をテストして頂きたかったですが)。一方のGM計数管式は、低線量の測定では、ほとんどが正確な数値より0.03μSv/h以上高い数値を示しています。
但し、小豆川助教は、この「実力テスト」の結果を受けて、「同じ試料を同じ条件で計測しました。しかも機械のゆらぎがおさまるまで待った。万全を期しても、これだけ値が違うのです」とした上で、「(個人が様々な線量計で測定して書き込んだ)ネット上の数値が高い、低いと言って恐れるのは間違っている、と気づいてもらえたと思います。むしろ同じ線量計で何%変化したかということに目を向けるべき」と主張しています。
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